夢 の 劇

6月になりましたが、4月に見た舞台のこと。
演出家が白井/晃さんということで、どうせいつもの難しくて重い舞台なんでしょ、と思っていたら、難しいのは難しいのだけど、仕掛けがたくさんでとっても楽しく見ごたえのある作品でした。舞台は生物(なまもの)だから良くも悪くも毎日違うパフォーマンスになる、前半と後半では演技も違ってくる、って知ってたけど、これは毎日見ても違う発見ができそうでした。客席も普通の客席をつぶして三方向から見られるようになっていて、センター、右側、左側と、席によっても見え方がだいぶ違いました。私は2回だけ(しかも2日連続で)見てきました。

早/見/あかりちゃん演じる神の子が人間の世界に降りてきて、色んな人たちに遭遇して「人間てなんて愚かなのかしら」と何度も思いながら旅をしていくストーリー(と理解しています)。
出てくる人の言ってる意味がわかんなかったり、みんなが覗いていた扉の向こうに何があるのか想像したり、上からぶら下がっているオブジェの意味を考えたり、観客としてはちょっともやもやしながら話は進み、最後に神の子は天に帰っていきます。
圭くんは詩人役で神の子をナビゲートしたりしなかったりするのだけど、最後の方で、詩人がこの劇そのものを書いたことが明かされました(こういうのが難しいのです)。

心に残ったセリフは「すこぶる常識的で善良な平和を愛する市民のみなさん」と一般市民を揶揄するような言葉。何回か出てきます。これって現代だと、ちょっと悪いことしたり失敗したり迷惑かけちゃったりした人にみんなで寄ってたかって石を投げる、いわゆる炎上を起こしている社会を意味しているのかな、なんて思いました。正義感を持って石を投げている人だって、徹底的に洗えば後ろめたい部分も出てくるんだろうから攻撃しすぎないでほしいな、と普段から思っているもので。しかし、100年も前に書かれた戯曲にこんなことを考えさせられるとは驚きです。

演出としては、場面転換がたくさんあり、音楽に合わせて10数人の演者が一斉に小道具大道具を持ちながら出てきたり入ってきたりするのがちょっとした台風みたいで面白かったです。1日目はセンター席の2列目で目の前まで迫って演者さんがやってきて、大勢で弁護士?に駆け寄ってくるところとか、とても迫力がありました。斜め前くらいに圭くんがしばらく座ってたときは「うわー、そこに圭くんがいるー」とドキドキ。舞台メイクが濃くてあんまり好きではないけれど、それでもとってもかっこよかったです。2日目は右側のはじっこだったので、演者さんたちがはけていく様子がよく見えました。ライトも当たらずほぼ誰も見ていないのに、完全に奥に入るまで演技を続けている女優さんたちも。

言葉や演技だけじゃなくて、ダンサーさんも出てくるし、何と言っても音楽が全編生演奏なのです。もちろんオリジナル曲。オルガンやアコーディオンのもの悲しい音色が今でも耳に響きます。ダンサーさんもセリフがあるし、俳優さんも踊るし演奏をする人もいるし、音楽隊の皆さんもよく見ると地味に演技をしているし、役割関係なく総合的に作品を作っている、という感じでした。みんなで踊るダンス、圭くんはあんまり踊らなかったけど、あかりちゃんと軽くステップを踏むところが見られて満足です。

2日目はアフタートークがあったのですが、Tシャツ姿の圭くんかわいかったです。マイクで遊んでるのも、白井さんいじってるのも、夜遅いから途中で帰っちゃう人に会釈してあいさつしてるのも、まるっとかわいかったです。トークの内容はあんまり覚えていないけど、白井さんに褒められてにこにこしていました。あかりちゃんは勘がものすごくよいそうです。あかりちゃん舞台は初めてだったみたいだけど、思いのほか上手でびっくりしました。一本調子なところもあったけど、神の子っていう役を考えたらそこまで気にならなかったです。声が好き。

後は、お花がたくさん来ていました。演者さんが多いというものあるけど、それほどメジャーじゃない(エンドレスショックとかに比べて)舞台に、こんなにお花が来ているのって珍しいと思いました。圭くんにはすまっぷの木村さん香取さんゴロ―さんから来てたのがひときわ大きくきれいでした。ドラマ共演した人の舞台があるとか、いったい誰がチェックしてお花を送っているのだろう。マネージャーさんかなぁ。図書戦からはたおちゃんからと、チーム全体で来てました。岡田くん。。。

DVDは発売されないと思うので、これでなんとか記憶を留められますように。もう二度と同じものが見られないのがナマモノのいいところであり、怖いところです。